「みんなが変える、食の未来-限りある食資源を未来へつなぐ-」
味の素(株)グローバルコミュニケーション部
PR・CSRグループ シニアマネージャー 長谷川 泰伸 氏
(質問1) 「味の素」は、店頭には遠慮がちに隅の方に少量しか並べられていません。今でも昆布ではなく石油から作られているのですか?「味の素」から「かつおだし」に切り替えられたのですか?
(回答1) 現在、商品「味の素」は微生物による発酵法で、サトウキビやキャッサバいもなどを原料として作っています。石油から作ってはいませんし、合成法では作っていません。過去に合成法で作っていた時期もありますが、詳細は以下をご参照ください。
味の素CSR報告書2009 9ページ~
http://www.ajinomoto.com/jp/activity/csr/pdf/2009/ajinomoto_csr09.pdf
さまざまな料理に使え「うま味」を補う、うま味調味料「味の素」と、和食の基本かつおだしを手軽に味わえる風味調味料(かつお)「ほんだし」、いずれも販売しています。お料理に合わせてお使い分けください。
(質問2) アミノ酸が入った(利用した)肥料の件ですが、アミノ酸は添加物としてのマイナスイメージもありますが、それで作られた作物にもアミノ酸が吸収されてしまうのでしょうね。添加物として問題はないのでしょうか?
(回答2) ヒトを含めた生物の体を構成するたんぱく質は20種類のアミノ酸からできています。いくつかのアミノ酸は、体内で合成されます。また体内で合成されないアミノ酸もあり、それらは動物の場合は餌として食べたり、植物の場合は肥料として吸収したりして補充する必要があります。つまり、多くの高等生物はアミノ酸を摂らずに生きることはできません。
ヒトを含め生物の成長・維持には、アミノ酸成分を摂ることは欠かせないのです。
味の素のアミノ酸系肥料は、質の良い肥料・飼料として世界各地で活用されています。
一方、食品添加物としての調味料(アミノ酸)のアミノ酸に関しても同様で、もともと体の構成成分のアミノ酸と同じもので、健康への危害はありません。
また現在の日本においては危険な食品添加物というものはなく、食品添加物に指定されている栄養素は、全て使用について安全性が確認されています。
(質問3) 基本のバイオサイクルの他に、キャベツバイオサイクルやコーヒーバイオサイクルなどが成立するのは、味の素さんの多彩な商品展開ゆえだと思いますが、商品開発が先か、バイオサイクル成立のための商品開発が先なのかお聞かせください。
(回答3) 事業としては、もともと発酵法によるアミノ酸の製造が先です。その際に残った発酵液を捨てずに活用することから始まったのが肥料・飼料として利用することで、これによりバイオサイクルができました。当社の肥料・飼料は世界各地で40年にわたって良質な肥料・飼料として使われています。
プレゼンテーションの中でお話しさせていただいたキャベツ、コーヒーのバイオサイクルは最近の新しい事例です。肥料販売と農業指導を行い、我々が使う原料の確保と同時に、現地の小農家を経済的に豊かにすることを目指しています。
参照 味の素グループサステナビリティデータブック2016
特集1 7ページ
特集2 2~6ページ
環境 14~15ページ
http://www.ajinomoto.com/jp/activity/csr/report/index.html
「エコビジネスは地域を変える-ガソリンスタンドの挑戦と成果-」
油藤商事(株) 専務取締役 青山 裕史 氏
(質問1) 精製プラントはどれくらいの金額でできますか?世界一周の車に積んだものはどうですか?
(回答1) 精製プラントは、当社のプラントで家が一軒建つ程度です。世界一周に搭載したプラントは、色々な方々のご支援により材料費程度で仕上がっています。プロト(試作)タイプなので、価格は明示できませんが、資材メーカーや機器メーカーの支援を頂戴し、完成しています。
(質問2) ヘットやラード、魚の油が、植物性油に混じって入っていた場合はどうなりますか?また、どのように対処しますか?
(回答2) 植物油がメインですが、廃食油の中には色々なものが混じっております。あまり質の悪い廃食油でバイオディーゼル燃料を精製すると副産物のグリセリンの発生量が増えます。つまりグリセリンの増減によりどんな油でも精製することが可能です。 廃食油の段階で、固形化しているものなどは、肥料・飼料として専門業者に引き取ってもらいます。
(質問3) 自分の商売で利益を上げるということを主にしてはおられないことはわかるが、考えておられるのか?こういうことをすれば成り立つと考えておられるのか?教えてください。
(回答3) 「出せば入る(発顕還元の原理)」というのが商売の原点でもあります。一見、社会貢献を重視した取り組みのように見えますが、つまり、自分の商売の利益を上げる事を主にしていないことではなく、利益をあげることと地域社会に貢献することをバランスよく行っているということです。それに一所懸命取り組むことで、自社の商売にダイレクトにつながってきます。
(質問4) BDF精製過程で多量のグリセリンが発生すると聞いていますが、精製プラントを積んだ車ではどのようにしていたのでしょうか? 100%BDFで走っている車は、滋賀県ではどれくらいあるのでしょうか?
(回答4) バイオディーゼル精製過程で約20%のグリセリンが発生しますが、大型ボイラーの燃料(サーマルリサイクル)されているのがメインです。世界一周した「バイオディーゼルアドベンチャー」ではバイオディーゼルは全世界で取り組んでおられますので、その施設で引き取ってくださいました。また反応に必要な薬品類などもその施設で調達していました。モロッコでは反応する薬品を手に入れるのに3日かかりました。それも旅のだいご味です。
100%BDFで走っている車はまだまだ少ないです。バイオディーゼル混合軽油(BDF5%ブレンド)がメインです。これはバイオディーゼル精製量と車両使用量のバランスを考えてです。現在バイオディーゼル100%の使用は、発電機と重機燃料が多いです。