早春に花をめでた後のお楽しみは、梅の実ですね。諸説ありますが、梅は平安時代に中国から薬として伝来し、日本人の生活に欠かせないものだったそうです。梅には、消化促進・整腸、血流改善、防腐剤、疲労回復、骨の形成促進など様々な効果があるそうです。 今では一年中見かけるいちごですが、旬は春。この時期のいちごは基本的に露地栽培です。野生のいちごが始まりで、200年ほど前から、オランダで現在のような栽培が行われるようになりました。日本での栽培のはじまりは明治時代の中頃で、まだ130年ほどしかたっていません。いちごの赤い部分は実ではなく、花托(かたく)とよばれる茎の先端で、あの種のようなつぶつぶが実なんだそうですよ。 一年中いちごを食べられるようにビニールハウスで栽培されていますが、そのビニールが劣化し細かく崩れてしまうと回収困難なごみになってしまいます。今は、これらのビニールをバイオマス素材に代えるなど、環境に配慮した取り組みが行われています。 参考:フーズリンクサイト「旬の食材百科」 「そだててあそぼう14イチゴの絵本」木村雅行編 杉田比呂美絵 農山漁村文化協会 なんでも梅学サイト「知ってる?『南高梅』のルーツ」 2 ⾧い冬が終わり、暖かく過ごしやすい季節になってきましたね。冬に眠っていた自然界の生き物は、一斉に活動を 始めます。旬という言葉がありますが、旬のものは季節に合った育ち方をしていて栄養価が高く安価です。この季節では春キャベツや菜の花、たけのこなどがありますが、多少の苦みもおいしいと感じるのは、この時期の身体がその食材を必要としているからなのだそうです。これからの旬の食材を、ちょっとのぞいてみましょう。 うめ 梅干しとして最も有名なものは南高梅(なんこううめ)。昭和25年に市場の安定を図るため、梅の優良品種を統一することになりましたが、5年にわたる調査で最優良品種に選ばれたのが、南部村(みなべむら)の高田貞楠(たかだ さだぐす)さんが、明治時代から栽培していた「高田梅」という品種でした。和歌山県立南部高校園芸科の先生と生徒たちがその研究・調査に協力したため、双方にちなんで南高梅と呼ばれているってご存知でした? かつお 鰹(かつお)は、春に黒潮に乗って九州南部から高知県沖に達し、秋に宮城県沖で親潮にぶつかってUターンして、また高知県沖に戻って来ます。初夏に初鰹として食べるのは回遊の始まりの高知県沖のもので、あっさりとした味が、初物として重宝されています。 温暖化の影響による黒潮の蛇行や、乱獲のため、近年は水揚げが減少している鰹。地球温暖化が、こんな身近なところにまで影響しているのですね。 様々な技術が進歩して、旬かどうかにかかわらず欲しいものが一年中手に入れられるようになりました。ビニールハウス等、便利な生活のために作り出したものは、それが廃棄されるところまで心を配って、自然の循環を守る工夫が必要です。地球に対する負荷を少しでも減らす努力をし、これからも季節や旬を楽しむ生活を続けていきたいですね。 いちご エコ歳時記 春から初夏編
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