くるくるプラザ98号
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2023年の春に久し振りに阪神甲子園球場(以下、甲子園球場)に行くと、ナイター照明がLEDに変わっていることに気づきました。少し探ってみると、甲子園球場は「環境保全の推進」に取り組むため、2021年に「KOSHIEN “eco” Challenge」を宣言し、エコ活動を推進していることが分かりました。ではどんな取組みをしているのか、紹介しましょう。 名物グルメの「甲子園カレー」や「甲子園焼きそば」の容器は、バイオマスプラスチックを採用しています。これは、動植物から生まれた再生可能な有機資源を原料とするプラスチック素材です。ドリンク類のカップは、回収後ノベルティグッズなどに再生利用されています。またペットボトルは、再度ペットボトルに再生されたり、スタッフのポロシャツに再生されたりしています。 現在、プロ野球が開催される球場のフェンスはラバーの設置が義務づけられています。以前コンクリートの外野フェンスに激突して大けがをした選手がいたからです。甲子園球場ではそのラバーフェンスの中材クッションにリサイクル繊維が取り入れられています。 ナイター照明は2022シーズンから全面LED化されまし た。このLED化によりCO2の排出量は約60%削減されました。甲子園球場の要望は「お客さんの記憶に残るイメージを大切にしたい」というもので、照明メーカーは2年近くか けてカクテル光線(オレンジ色の白熱電球と青白い水銀灯の 混合色)をLEDで再現しました。これまで通り観客は、迫 力あるプレイを堪能しています。 名物のツタは甲子園球場の誕生とともに植え付けられま した。リニューアルのため一旦はすべて伐採されましたが、 高野連加盟校に贈呈されていたツタの種子が「里帰り」して 再植樹されました。つまり甲子園球場のツタの遺伝子は守ら れているのです。そのツタによる壁面緑化は、ヒートアイラ ンド現象の緩和や空調効率の改善にもつながっています。 2024年に100周年を迎える甲子園球場は、多くの企業の協賛を受けながら「環境にやさしい球場」を目指しています。甲子園球場の試合に「参戦」するファンも、ゴミやカップの回収に協力してエコ活に参加しましょう。 また銀傘には約1,600枚の太陽光パネルを設置し、年間で約193,000kwhの電力量を自家発電しています。これは球場ナイター照明において 1年間で消費する電力量の2倍に相当します。 壁面の ツタ 外野 フェンス 銀傘 太陽光 パネル 参考:阪神甲子園球場のサイト「阪神甲子園球場は"eco"にchallengeします」 阪急阪神ホールディングス株式会社のサイト「⑤環境保全の推進」 阪神甲子園球場100周年記念のサイト「甲子園秘話」 日経電子版「LEDで球場演出多彩」2023年5月23日付 3 ◆バイオマス素材やリサイクル繊維を使っています ◆照明をこだわりのLED化、壁面緑化は 創立時からのエコ活です ◆雨水を利用し、屋根では自家発電も しています 実は、甲子園球場の敷地内には井戸があるのだそうです。その井戸水と銀傘(内野席を覆う屋根)に降った雨水を地下タンクに貯めて、グラウンドへの散水や場内トイレの洗浄水に使用しています。おかげで、年間に使用する水量の約65%をこれで賄うことができています。 阪神甲子園球場のエコ活

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