畑にはクマが触れると微弱な電流が流れる電気柵を設置するなどし、侵入を防いで 昔は人が住む里と、動物が住む山の間に、里山という場所がありましたが、今は、里山が整備されず荒れたままになっていたり、開発で人が住むようになって、人の住む里がクマの生息域に近くなってしまいました。お腹をすかせたクマは人里に下りてくると、畑や人間のごみをあさるようになります。 寒い地域に生息しているクマは冬眠をします。食べ物が少なくなる冬を乗り越えるため、秋頃から体内に食料をため込み始め、11月頃から冬眠に入ります。冬眠中は飲まず食わずで排泄もせず、体温や心拍数、呼吸数も調整して厳しい冬を乗り越えます。冬眠は、クマにとって命がけの一大事なのですね。 冬眠を控えた秋に食べる食料の大部分がどんぐりです。秋のどんぐりの量がクマの冬眠に大きく影響します。山そのものが減っていますし、どんぐりが不作だった年には、クマはエサを求めて動き回り、人里に下りてくるのです。 そこで、日本各地でクマと共存する方法が模索されています。 環境があまりに激しく変化しているため、多くの動物がその変化についていけず、住む場所を失いつつあります。環境破壊による森林や里山の減少だけでなく、地球温暖化による北極の氷の減少など、人間の過度な社会活動の結果がバランスを崩したと言えます。クマを悪者と決めつけるだけでなく、クマが食料を確保できるようにして、お互いが不幸な遭遇をしないよう知恵を働かせていきたいですね。 クマが安心して冬眠できるように、どんぐりの苗木を植え、食料となるどんぐりを増やしていこうという、地道な活動が各地で続けられています。 います。 クマを引き寄せる生ごみなどを、適切に保管することが大切です。クマが開けられな。 いごみ箱を設置することで、そこに食べ物があると認識しなくなります 長野県軽井沢町では人が住む地域に近づこうとするクマに発信器をつけて放ち、一頭ずつ管理します。また、クマの臭いをかぎ分ける訓練を受けた犬(ベアドッグ)を使って、近づいて来るクマをいち早く発見し、吠えたて、傷をつけずに森の奥に返しています。 秋が近づくと、人がクマに襲われたというニュースを、時々耳にします。凶暴なイメージのクマですが、本来怖がりなので、積極的に人を襲うことはないと言われています。うまく共存していたはずの人とクマ。どうしてそのバランスが崩れてしまったのでしょうか。 参考:「楽しい調べ学習シリーズ クマ大図鑑 体のひみつから人とのかかわりまで」小池伸介監修 PHP研究所 「みんなが知りたい!地球と環境がわかる本」北原義昭 菅澤紀生監修 メイツ出版 「クマが出た!助けてベアドッグ クマ対策犬のすごい能力」太田京子著 岩崎書店 特定非営利活動法人ピッキオのサイト「クマ保護管理について」「ベアドッグについて」 ベアドッグの写真提供 NPO法人ピッキオ 6 エコ歳時記 クマの冬ごもり
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